ぶわぶわとサクサクのあいだ


おはようございます。140Bのおおさこちからです。
ひさしぶりにゆったりとした朝を迎えてまことに清々しい気分です。
『キョースマ』もようやく明日の最終校正を経て発売となります。
どうかどうかたくさんの人に可愛がってもらえますように…。



さて、今朝はずっと書こう書こうと思って書けなかったことをついに書くべく筆を執った次第です。
それは何か? 申し上げましょう、「天ぷらどん兵衛における、天ぷら投入のタイミングについて」です。


けっ、なんじゃそれはと思って他のページへ飛ぼうとした皆さん、
まあまあそんなにカリカリせずに今しばらくお付き合い下さい。
ことの発端は、内田樹先生のブログ長屋にお住まいの、ドクター佐藤の日記です。
http://nagaya.tatsuru.com/sato/2004/07/05_1006.html
ドクターはここで、現在、喧伝されている「後のせサクサク」方式に異を唱え、
「先のせぶわぶわ」方式のどん兵衛の良さについて語っておられます。
その秀逸なところは、「後のせサクサク」で食べるというのは、例えるならば、

「大いに盛り上がっている飲み会に途中参加していきなり『YMCA』を踊り付きで歌わされるようなものであって、
実際、後のせ直後の天ぷらをかじってみると、「まだ素面なんだから、いきなりヒデキは勘弁してよ」という天ぷらの声が聞こえてきそうである」

というようなものであり、この例えのあまりの秀逸さに、僕もすぐさまコメントし、
続いて青山ゆみこも参加するという事態に発展しました。


僕の主張をまとめるならば、以下の通りです。
・ どちらかと言えば「後のせサクサク」が好きである
・ しかし、どちらかと言えば、という断りが付くように、完全な後のせ派ではない
・ お湯を入れてから2〜3分経ってから、つまり「途中」で天ぷらを投入する「中のせ」派である
・ それは例えて言うなら「飲み会に遅れて行ったけど、楽しそうだったので、
ええい一緒に踊っちゃえ、Y・M・C・Aチャチャラチャラチャラ〜♪」というような状態である


これはなかなかこだわりの食べ方であると自負していました。
しかし、青山ゆみこは遥かその上をを行っていました。なんと、玉子を投入するというのです。
詳しくは上記のブログへのコメントを参照してもらいたいのですが、まさに驚くべき発想の大転換と言わねばなりません。
お湯とどん兵衛だけで、より旨く食べようと侃々諤々しているところに、軽々と玉子を投入してしまうこの大胆さ!
コロンブスの玉子ならぬ「青山ゆみこの玉子」として語り継がれるべき事柄です。


こんなしょうもな、いや緻密な議論が、僕の中で再燃したのはつい最近のことです。
ミーツの取材で、京都・木屋町松原にある焼肉[アジェ]に行った時のことです。
[アジェ]と言えば関西でも有数の「旨いもん」で、東寺などと並んで世界遺産に指定したいホソなど、数々のホルモン伝説を持つ名店です。
そんな、これまでの人生の中でも指折りの幸福な時間の中で、なぜかどん兵衛の話になったのです。
このことからも、どん兵衛問題がいかに切実なものかが推察されるというものです。


その時のお相手は、ライターのスズキテツさんとカメラマンの奥村達也さん。
なんとお二人とも「先のせぶわぶわ」派だと主張するではありませんか。
特に奥村さんは「先のせぶわぶわ」主義カゲキ派とでも呼べるほど、
後のせサクサク」対して強い違和感を覚えておられ、
どん兵衛ちゅうのは天ぷらをぐだぐだにして食べなあかん」というのが、ご夫婦の中での共通見解だそうです。
その主張の熱っぽさと言えば、もしどちらかが「後のせ」派だったら、
このカップルは成立していなかったのではないか? と思わせるほどでした。
そしてお二人は口を揃えて、「後のせ」はCMなどメディアによってもたらされたものであり、極めてミーハーであると言うのです。
要するに、我々は古来のピュアなどん兵衛の食べ方を守る原理主義者である、と。


とは言え、ここで黙っているわけにはいきません。
僕も「後のせ」(正確には「中のせ」)派の急先鋒として、
「幼少期から、三和商店街のうどん店[こんぴらさん]や立ち食いうどんで食べる際は、
食べ放題の天かすをこまめに継ぎ足し、常に“ちょっとサクサクした状態”で食べてきた」
「したがってこの考えは一朝一夕にして生まれたものではなく、単なるミーハーではない」ことなどを主張するも、
多勢に無勢でした。


これを臥薪嘗胆の機として、以後いろいろな人に「天ぷらどん兵衛の食べ方」について尋ねております。
140B内では、松本創もやはり「先のせ」派であり、四面楚歌といった感じです。
(中島淳社長は、どん兵衛はもっぱらうどんで、天ぷらは食べないとのこと。残念)
やはり「後のせ(あるいは中のせ)」はミーハーなのでしょうか?
メディアにのせられた、W杯の時だけ青いユニフォームを着るにわかサッカーファンと同類に属するものなのでしょうか?
今後もこの問題について、継続的に調査していきたいと思います。(それがどないしたんや)


さあ、仕事仕事。